製造実績

今までの取り組みと現状並びに今後の展望

当社では、平成12年12月より、一般廃棄物の焼却灰をセメント固化し、コンクリート積みブロックの原料として、有効利用できるかどうかの検討を重ねてまいりましたが、素材である焼却灰には、多くの有害物質が含まれており、その開発には安全性の面から困難を極め、躊躇しておりましたが、焼却灰を高温で溶融し無害化する、溶融スラグの出現により、その開発の流れは大きく変わったところであります。
平成13年4月より、一般廃棄物水砕溶融スラグを利用した土木用エコ積みブロックの開発に着手し、試行錯誤しながらも、JIS規格製品と同等の性能を有する製品の製造技術を確立し、本格的に稼動するため、同年8月に成型機および計量機器を改善し、製品の製造を開始したところでありますが、製品の安全性評価に関する技術的な知見、または当該評価を行うための設備、機材などの保有に欠けるところから山梨大学、および山梨県工業技術センターに協力を求め、エコ積みブロックから有害物質(環境庁告示46号に定める重金属類)の溶出試験を行うとともに、ミジンコ急性毒性試験並びに藻類生長阻害試験によって生物学的安全性の評価を行ったところであります。しかし、更なる安全性確保のために、オランダ溶出試験法により、ブロック破砕切片からの溶出試験をも実施し、安全性の実証を見たところから、平成15年2月12日に山梨県工業技術センターで記者会見をしたところであります。また、これを受けて、山梨県では溶融スラグの有効利用ガイドライン作成委員会を設置し、小生も同年10月25日付けで委員に就任し翌16年3月にガイドラインが確定し、同年7月1日より土木用エコ積みブロックの使用が開始されました。同時に山梨県森林環境部循環型社会推進課による山梨県リサイクル認定製品として認定を受け、まずまずの生産と販売が続きましたが、昨今の公共工事の減少の波には逆らえず、やむなく平成17年5月に試験機器の増設とともに、6A-500耐震自立型高流度エコブロック擁壁製品の特許申請を実施し、合わせて同年10月には特許申請した製品の製造と販売促進に努めてまいりました。平成18年には、溶融スラグにかかるJIS規格(JISA5031および5032)が同年7月20日付けで制定、平成19年6月4日付けで一部改正されコンクリート製品への使用がJISQ1012によって認められましたので、今後は一般廃棄物溶融スラグを利用した各種製品の製造販売が全国的に促進されるものと思われます。
平成18年10月6日の山梨県定例県議会および12月10日の定例県議会土木森林環境委員会で溶融スラグの問題が取り上げられ、平成19年度からは県を上げて今後は工事成績評定で加点対象とするなどして利用促進を図っていただけるとの見通しであります。平成19年6月定例県議会でも横内知事が発言したように、今後県内企業の優先活用や建設資材の県内優先調達について、公共3部共通の特記仕様書に8月をめどに明記されることとなり、やや明るさが見えるかとも考えているところであります。特に山梨県リサイクル認定製品の積極的活用については関係部局はもとより、工事担当者や測量設計業者においてもその旨の通達がなされていると聞きおよんでいますことから、経営環境改善の面から一歩前進と受け止め尚一層の努力をし、良質の製品を速やかに提供できるよう心がけて参りたいと思っております。
私どもが主力の業としておりますコンクリート積みブロックを含む、日本工業規格表示認定制度が国際規格ISOとの整合性を図るために2005年10月1日より新JISマーク制度(民間認定機関による個別認証制度)に移行し、2008年9月30日をもって廃止となります。従いまして、同日までに新JIS制度における認証を取得できなければ事業継続のみならず会社の存続すらできなくなります。このようなことから当社では昨年来その準備を着々と進めてまいりましたところ、認証取得に必要なすべての書類(社内規格、試験規格、標準作業手順書など)および申請書ができ上がり、今般財団法人建材試験センターの審査員2名により8月2日に認証審査を受験し無事審査も完了し、平成19年11月1日付で一般廃棄物溶融スラグを利用した製品を含むプレキャスト無筋コンクリート製品Ⅰ類について、財団法人建材試験センターより日本工業規格適合性認証書(TC-03-07-236)を取得しております。
この新JISマーク認証について山梨県内では、生コンクリートおよびコンクリート製品関係だけを見たところ、平成20年9月末現在で認証取得が生コンクリート工場31社(普通コンクリートのみ19社、舗装コンクリート含む12社)コンクリート製品工場11社(積みブロック6社、エコブロック含む1社、境界ブロック2社、上ぶた式U型側溝2社、落ぶた式U型側溝3社、L型水路1社、ベンチフリューム1社、鉄筋コンクリート管1社)というのが実態であります。このことは今回の新JIS制度が一品目単位の個別認証制度という厳しい新たな規制にあるため、製造するすべての製品ごとに新JISの認証を取得することが義務付けられたことによるものであります。従いまして、すべての製造工場としては新JISマーク認証取得にかかる事務量の増大と同時に、多額の費用も必要となります。また同時にその製造物責任は重大であり、品質保証はもとより生産管理体制のより一層の充実が要求されることになります。しかしながら、他方では従来横行していた、安かろう悪かろうといった製品製造販売の不適格業者の排除という図式が、確実なものになることも予想されます。
当社としましては県内他社に先駆けてこの新JISの認証を取得すると同時に、一般廃棄物溶融スラグを利用したプレキャスト製品としては全国で初めてとなる認証を取得したことによって、特許出願申請中の6A-500耐震自立型高流度エコブロック擁壁を全国に広めるとともに、特許権使用許諾にかかる収入にも繋げてまいりたいと思っております。

今までの取り組みと現状並びに今後の展望

6A-500 耐震自立型高流度エコブロック擁壁施工現場
特願2005-151023

今までの取り組みと現状並びに今後の展望

6A-500 耐震自立型高流度エコブロック擁壁
雲澤寺施工現場

現在のところ山梨県内でエコブロックの認証を取得できるのは当社以外にはないため、当社といたしましてはこの知的財産ともいうべき技術力を活かし全身全霊を傾注して、生き残りを図って参りたいと考えている所存であります。
平成16年に開発いたしました商品(6A-500耐震自立型高流度エコブロック擁壁)は、省力化と同時に工期の大幅な短縮に繋がるとして、またもたれ式擁壁への利用や、小規模堰提への活用などで建設土木施工業者においては好意的に評価されており、今後の需要拡大に期待をしているところであります。
当社では、製造するコンクリート積みブロックの原材料の一部として『一般廃棄物溶融スラグ』を利用するにあたっては、その情報のすべてを公開しております。
当社が使用している一般廃棄物溶融スラグは、富士吉田市環境美化センターによって製造された製品であり、重金属を含む有害物質8項目の溶出、含有試験および塩化物量、膨張率試験、並びに物理試験は毎月、化学成分(酸化カルシウム、全硫黄、三酸化硫黄、金属鉄)は3ヶ月ごと、アルカリシリカ反応性試験は1年に2回、土壌汚染に係る溶出試験、製品からの重金属を含む有害物質8項目の溶出試験を年1回という頻度で実施しており、常に安心安全に心がけて物づくりを行うことによって、山梨県内に於けるゴミ問題と、環境および資源循環を優先的に考えております。

平成20年10月28日
有限会社大興 代表取締役 大貫 信義

国土技術開発賞に応募した製品

財団法人国土技術研究センターおよび財団法人沿岸技術研究センターが主催し、国土交通省が後援して実施されている国土技術開発賞に、当社の6A-500耐震自立型高流度エコブロック擁壁で応募したことがあります。
37件の新技術の応募がありましたが、残念ながら当社の6A-500耐震自立型高流度エコブロック擁壁は入賞には至りませんでした。しかし、今後も自信をもって取り組んでいきたいと思います。

【6A-500耐震自立型高流度エコブロック擁壁】
基礎部分に溝をつけ、前後左右に移動しない構造です。
1m以上積上げた後でコンクリートを流し込んで一体化させます。

国土技術開発賞に応募した製品

6A-500施工状況基礎部分

国土技術開発賞に応募した製品

6A-500施工状況完成

雑草の生えにくい再生盛土材SRC40

当社では、平成16年11月より一般廃棄物溶融スラグおよびコンクリート塊・アスファルト塊を適宜混合した、下層路盤材SRC40を山梨県リサイクル認定製品として製造販売しておりましたが、平成21年3月に一般廃棄物溶融スラグに関するJIS規格が改正され、下層路盤材に使用が認められていたJISA5031に変わってJISA5032に変更となり、山梨県内では製造されていない溶融スラグであるために、この認定制度が平成22年3月をもって終了廃止となりました。
そこで、これを期に更なる製品開発に着手し考えついたのが、それまで最終処分場で埋め立て処分される以外にほとんど利用価値のなかった、ガラス陶磁器くずおよびコンクリートくずの活用でありました、もともと日本瓦は粘土を焼成して作られているために、その破砕断面には無数の気泡孔が存在し、吸水性の高いことが確認されています、またコンクリート製品工場や生コンクリート工場から排出されるコンクリートくずは、そのほとんどかセメント成分であり、酸化マグネシウム・三酸化硫黄・全アルカリなどの化学成分によって、草木などの生長が阻害されることはすでに証明されております。
実験の第1段階では、一般廃棄物溶融スラグおよびコンクリート塊・アスファルト塊に瓦・コンクリートくずを単純に混合して製造してみたところ、通常の再生砕石RC40(コンクリート塊70%・アスファルト塊30%)と比較してただ単に瓦などによる影響で赤みが強いことと、物が多く粘り気があるということ以外に大差がないことが判明したため、第2段階では試行錯誤の末に配合比率をS:K:CK:A:Cの順で徐々に変更して製造し、でき上がった再生材を約2mの高さで堆積放置したところ、概ね2週間で自重による圧縮硬化が始まったため、自社独自の25mm鉄筋杭による貫入試験の結果、僅か5cmという成果が得られたことにより、次なる実験に取り掛かりました。
それはまず専門機関(ここでは埼玉県の株式会社東光土質)に、最大乾燥密度・最適含水比・修正CBR95%・修正CBR90%・すりへり減量・液性限界・塑性限界についての試験を依頼しその報告を求めるとともに、工場の敷地内の雑草の生い茂った約10㎡の場所を掘削し、3区画に分けた後それぞれ30㎝・15㎝・10㎝の厚さで、でき上がった再生盛土材SRC40を敷き詰めて放置し観察したところ、1年が経過した頃に厚さ10㎝の場所で小さな雑草が確認されましたが、30㎝・15㎝では全く生えていないことが確認できました。

雑草の生えにくい再生盛土材SRC40

厚さ10㎝で掘削機転圧

雑草の生えにくい再生盛土材SRC40
雑草の生えにくい再生盛土材SRC40

厚さ15㎝・30㎝8tの掘削機転圧

また、峡南建設事務所が発注した公共工事の現場においても、平成23年度だけで3箇所の実績があり、今日現在におけるその実状確認ができています。

国道300号下部トンネル出口 平成23年1月完工 峡南建設事務所

国道300号下部トンネル出口 平成23年1月完工 峡南建設事務所
国道300号下部トンネル出口 平成23年1月完工 峡南建設事務所

県道富士川身延線内船栄グランド前 平成23年4月完工 峡南建設事務所

県道富士川身延線内船栄グランド前 平成23年4月完工 峡南建設事務所
県道富士川身延線内船栄グランド前 平成23年4月完工 峡南建設事務所

県道富士川身延線内船道路肩 平成23年7月完工 峡南建設事務所

県道富士川身延線内船道路肩 平成23年7月完工 峡南建設事務所
県道富士川身延線内船道路肩 平成23年7月完工 峡南建設事務所

また、雑草対策以外の分野においては、成績表でも分かるとおり締固め度(修正CBR値)が優れていることが評価され、公共工事における道路改良舗装の軟弱地盤の改善のために、当該現場の土砂を深さ約1mほど前後掘削して、再生盛土材SRC40を用いて入れ替え(30㎝の通常転圧により締固め)た後に、3t平板載荷試験を実施しましたが、いずれも規定値を大幅に超過しその締固め度が証明されたところであります。(平成22・23年度に峡南建設事務所管内の県道富士川身延線で4ヶ所の実績有り)

このような状況から考えて見ますと、平板載荷試験で不適合と判断された施工予定の現場では、従来から慣例的に設計され工事が行われてきた、高価なセメントなどを利用した複雑で難易度の高い地盤改良工法よりも、より単純な施工方法で、かつ工事に係る資材や直接工事費なども安くなるし、あわせて施工工程の大幅な短縮による総合的相乗効果が期待できることは、間違いのないことと確信をしております。

平成22年度より3年間の外部依頼による最大乾燥密度・最適含水比・修正CBR95%・修正CBR90%・すりへり減量・液性限界・塑性限界についての試験結果は別紙に示す試験成績表のとおりでありますが、最大乾燥密度は1.930から1.970g/と安定しておりますし、修正CBR95%においても90.0から112.5%と非常に高い数値が示されており、いかに良好な締固めが期待できるかは容易に判断できるものと考えます。またすりへり減量の数値も20.8から23.6%と安定しているために、長期的に見ても地盤の堅牢さは確実に保証されていると考えられます。

山梨県内において、産業廃棄物の最終処分場が安定的に確保されていない状況から考えますと、がれき類(コンクリート塊・アスファルト塊)やガラス陶磁器くずおよびコンクリートくず、並びに有効利用できていない一般廃棄物溶融スラグを大いに利活用することが、リデュース・リュース・リサイクルの精神からも今後もっとも重要なことではないかと考えております。

平成24年8月18日
有限会社 大興 代表取締役 大貫 信義

県道富士川身延線内船道路肩 平成23年7月完工 峡南建設事務所
県道富士川身延線内船道路肩 平成23年7月完工 峡南建設事務所
県道富士川身延線内船道路肩 平成23年7月完工 峡南建設事務所

ご依頼・お見積り・ご質問

ご依頼、お見積り、ご質問などがございましたら、
お気軽にご相談ください。
お電話、お問い合わせフォームにて受け付けております。

TEL 0556-64-2320

お問い合わせフォームはこちら